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大谷選手は日本ハムでよかったのか? [スポーツ観戦]

2012年12月13日

ドラフト前に、MLB入りを表明していた、花巻東高校の大谷選手。

結局は、日本ハムとの交渉で入団を決意した。その際にメディアでは、交渉に使われた資料が話題になっていたが、今回その球団資料「夢への道しるべ」が公開になった。

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本人のあれほど硬いと思われたMLB行きの意思を翻意させた資料の内容には大変興味があり、社会ではしばしば困難な場合が多い、人を説得するための参考になるかと思い、早速拝見することにした。

内容は、MLBと日本プロ野球で長期にわたり活躍した選手の比較、多分野に及ぶ海外プロスポーツの現状と日本人の進出など、数多くのデータを提示しながら、結論としては、

「これまで日本から海外進出してMLBで長期にわたって活躍した選手は、国内で実績があることから、大谷選手の場合もまず国内プロ野球で十分な技術や人間性を確立しながら実績を上げた後、海外進出した方が懸命である」

とし、(当然ながら)日本ハム入りを推奨している。

確かに、これだけのデータや資料を見せられた高校生は、内容を細かく見ることが出来たとしても、提示された結論を疑うのは難しいであろう。

しかしながら、今回の主要な結論である、

「国内実績が、MLBでの長期活躍に影響しており、一方、若年期の海外進出がその活躍に結びつくかどうかは不明」

の部分でキーとなった比較データの対照が不適切であると思われ、導かれた結論を再考すべきのように感じる。



日本ハムのデータでは、これまで国内実績のある選手がMLBで長期にわたり活躍した確率を、それぞれの選手数から算出し、

式1) (国内実績があるMLB活躍選手 29人) ÷ (MLBに挑戦した国内実績のある選手 42人) = 69%

としている

一方、国内実績の無い選手がMLBで長期にわたり活躍した確率は、同様な計算から、

式2) (国内実績がないMLB活躍選手 6人) ÷ (MLBに挑戦した国内実績のない選手 108人) = 5.6%

と算出し、ここに10倍以上の開きが有り、国内実績の必要性を明言している。



しかし、普通に考えてみれば解るように、

「実績を残していない選手が、MLBに進出して長期にわたり実績を出す」

など、矛盾しており非常に困難であることは、日本で毎年ドラフト上位の選手でも、その中の何%の選手が活躍しているかを考えると、イメージできると思う。まだ国内で実績を残していない選手が、MLBで活躍する確率が、5.6%と低いのは、当然である。

大谷選手のような、国内で実績の無い選手(式2)を、既に実績がある選手(式1)と比較すること自体、スタート時点がそろっておらず、ほとんど意味がないのが解ってくると思う。



日本プロ野球でまだ実績の無い大谷選手に、MLBで長期活躍の可能性を示すのであれば、代わりに、

式1’) ドラフト上位指名された選手が国内で実績を出す確率 X 式1)

などが考えられる。


大谷選手の高校時代の公式戦での活躍や投打での可能性を考慮しても、高卒であることや過度な注目度の負の要素を加味すれば、大谷選手が日本で実績を出す確率は、ざっと 20-50%といったところか。参考サイト

式1’)より、20〜50% X 69% = 14〜35% くらいが、妥当な可能性であろう。

これを、先の式2)の5.6%と比較できていれば 3〜6.5倍と、より考えるべき数値になってくると思う。




ところで、日本ハムの言う、「国内実績がないMLB挑戦選手」の一人であり、社会人野球からドラフトを経ずしてRed Soxに入団した、田澤純一選手の評価など、誤ったデータを採用していることが、結論をさらに曖昧にしている。

まず、田澤は2009年入団でまだ渡米して4シーズンしか経過しておらず、日本ハムの定義した「長期にわたり活躍した選手」にはなり得ないのに、その分母に入れられている。

おまけに、移籍年齢を1年早く書かれており、見かけ上5シーズン過ごしたことになっている。さらに、直接数字には影響しないものの、ケガで出遅れたシーズンは25歳であったにも関わらず、中継ぎで37試合、ERA 1.43と大活躍した26歳のシーズンと表記されており、内容の不確実さは明白。


たとえ一つでも、間違ったデータや記載を含んでいると、おのずと全体の結論まで疑惑の念が及ぶものである。


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